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名古屋高等裁判所 昭和31年(ム)1号 決定

申立人 木村宏

主文

本件再審の申立を却下する。

理由

再審申立人は、「名古屋高等裁判所昭和三十年(ウ)第六五号訴訟上の救助申立事件について同裁判所が同年十二月二十四日にした申立棄却の決定を取り消す。控訴人木村広(再審申立人)と被控訴人木村陽子との間の同裁判所三十年(ネ)第五二五号離婚請求控訴事件について再審申立人に訴訟上の救助を附与する」旨の決定を求め、その理由として、「再審申立人と木村陽子との間の名古屋高等裁判所昭和三十年(ネ)第五二五号離婚請求控訴事件について、再審申立人は同裁判所同年(ウ)第六五号をもつて訴訟上の救助の申立をしたところ、同裁判所は昭和三十年十二月二十四日に右申立棄却の決定をした。再審申立人が救助の事由の疏明資料を提出しなかつたから、前記のように申立棄却の決定があつたものと推測せられるが、再審申立人は、民生委員小林ひろの作成にかかる再審申立人が無職無収入で生活困窮者であることを証明する旨を記載した証明書一通を同月二十七日に同裁判所に提出したから、その証明書を疏明書として更に審理判断せられたく、ここに再審の申立をする」旨を申し立てた。

それで案ずるに、民事訴訟法第四百二十九条によれば、即時抗告をもつて不服を申し立てることができる決定が確定した場合において同法第四百二十条第一項に掲げる事由があるときは再審の申立をすることができる。そして一般に訴訟上の救助の申立を棄却する決定に対して即時抗告をなし得ることは同法第百二十四条によつて明かである。もつとも、その決定が本件のように高等裁判所がした決定である場合には、裁判所法第七条の解釈上、これに対して即時抗告をすることは許されないが、同条は、最高裁判所の特殊な性格に基く要請に応じて最高裁判所に不服申立をすることを制限したにとどまり、高等裁判所がした右決定に対して高等裁判所に再審の申立をすることまでも排除する趣旨ではなく、したがつて本件のような高等裁判所がした訴訟上の救助の申立棄却の決定に対しても再審の申立をすることは許されるものといわなければならない。

しかしながら、本件訴訟上の救助の申立棄却の決定に民事訴訟法第四百二十条第一項に掲げる事由があることについては、再審申立人の主張も疏明もなく、かつ記録を精査しても、その事由があることを認めることができないので、本件申立は、この点において失当である。

それで本件再審の申立は却下すべく、主文のとおり決定をする。

(裁判長裁判官 北野孝一 裁判官 大友要助 裁判官 吉田彰)

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